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理学療法の知識と基礎 病院・クリニック・介護施設の勤務を経て辿りついた思いです.

アーチと載距突起について           
 

載距突起

人間の足関節を構成している中で重要なのが、距骨下関節を構成している載距突起である。これは踵骨と距骨を結び付ける重要な部位であり、正常なアーチを持った載距突起は、足の長軸に対して直角の位置に安定している。そしてその上に、距骨がしっかり乗っている状態である。載距突起の面積は小さく、結合の具合も極めて特異であり、平面上にピッタリ固定されているのではなく、緩やかなカーブにうまく適合して乗っている状態である。この部位で人間の身体全体の圧力の大部分を支え、踵、前足部に力を配分し、そこで起立して歩いたり、駆けたり、跳んだり、蹴ったりする運動の原動力となっているのであり、この小さな部位にかかる圧力が、直立二足歩行の原点になっている。もし、足に障害があったり、アーチが落ちて異常に平らな足では、載距突起の角度は、90度より鋭角に減少することが多く、それにともないアーチを適切に支え、十分に足を機能させることができなくなるので、直立二足歩行に対して足を十分に機能させるには、載距突起を足の長軸に対して90度に保つことが必要条件になっていると思われる。ストレスの配分直立静止状態のとき、下肢を伝わってきた体重は足関節を通り、距骨滑車面のレベルで後足部にかかる。ここから力は弓蓋の3つの支持点方向に、分散される。

@:第1中足骨頭へは、距骨頚と内側アーチの前方支柱を通り伝わる。

A:第5中足骨頭へは、距骨頭・踵骨前方突起そして外側アーチの前方支柱を通り伝わる。 

B:踵骨隆起へは、距骨体・距骨下関節・踵骨体を通り伝わる。

直立静止状態では、どのような変化が起こっているのか。直立静止状態のときは、足部のアーチは体重によって、平坦化して長くなる。各アーチに分けて見ていく。



アーチに対する足部スポーツ障害に対して

 足部においては、中足部と第2,3中足骨は靭帯などの静的支持組織により支持されるが、第1,4,5趾のリスフラン関節においては可動性が存在し、体重負荷により母趾列の外旋、第4,5趾列の内旋による横アーチの広がりが起こるため、アーチ保持のためには静的支持のみならず動的支持の必要がある。
 短趾屈筋、短母趾屈筋は中足骨横アーチ保持に大きな影響を及ぼし、これらの筋による中足骨横アーチの保持が長腓骨筋の活動を得られやすくしたものと考えられた。長腓骨筋が活動しやすくなればさらなる動的なアーチ保持につながるため、扁平足障害などの足部スポーツ障害に対しては短趾屈筋、短母趾屈筋など足部内在筋と長腓骨筋など足部外在筋との筋バランスに留意した理学療法を行う必要があると考えられる。