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理学療法の知識と基礎 病院・クリニック・介護施設の勤務を経て辿りついた思いです.

脊柱管狭窄症 病態とリハビリB

治療方法

 神経障害型式によって自然経過が異なる。馬尾障害は自然緩解が認められないが、神経根障害は自然緩解を有する。

@神経根障害
保存的治療が第一選択となる。日常生活指導、薬物療法、ブロック療法、装具療法などを組み合わせて処方する。保存的治療無効例や社会的理由で選択した症例に対して手術が適用される。

A馬尾障害
有効な保存的治療の方法は少ない。日常生活指導、薬物療法、腰部交感神経節ブロックなどを組み合わせて処方する。保存的治療無効例や病態を理解したうえで選択した症例に対して手術を行う。

手術的療法
保存的療法が無効である場合や、歩行障害や下肢痛が寛解・増悪を繰り返す場合、すでに(特に)膀胱直腸障害や会陰部障害をきたしているもの、麻痺症状の強いものは、手術的療法の適用となる。

 <運動療法>

保存療法では、投薬・装具作成などを行うが、運動療法としては以下の腰痛体操を指導するとよい。もちろん、全て教えるのではなくその症状にあった運動を指導するべきである。

 

  

 

 

 

  

 

 関連疾患との鑑別

根症状を伴う場合、ヘルニアでは脱出部の神経根に限られる。しかし、狭窄症では2~3の複数の神経根症状が、両側性に出現することが多い。歩行時の疼痛と跛行が本症特有の症状である。

・腰部脊柱管狭窄による下肢痛(神経根性間欠性跛行)と閉塞性動脈硬化症による下肢痛(血管性間欠性跛行)との鑑別方法。

@閉塞性動脈硬化症による血管性間欠性跛行とは、好発年齢が重なり、疼痛による間欠跛行を呈するという共通点がある。

@閉塞性動脈硬化症では足背動脈が触れない。

A腰椎の屈曲を要求されるエルゴメーターを使用させると、脊柱管狭窄症では愁訴は出現しない。しかし、血管原性の場合は短時間で下肢に疼痛が出現する。

B最終的鑑別は神経根ブロックによる間欠跛行の消失の有無をみる。

馬尾性間欠跛行は、歩行による疼痛のためでなく下肢の脱力で歩行できなくなる脊髄性間欠跛行(脊髄特に下部胸髄以下の血管奇形による)との鑑別も必要である。